力丸の病気が重症筋無力症だというということがわかったきっかけは、ある朝、起きてリビングに行くと、可愛い丸いウンチが一個、転がっていたことに始まります。
家の中での排泄が一切できない力丸が、家の中でウンチをしてしまったということは一大事なわけで、余程具合が悪かったに違いありません。力丸を見ると、具合が悪そうな感じではありませんでしたが、かかりつけの病院が、いつもとても混んでいるので、受付の開始は8時半から、診療は9時からですが、直ぐに車に飛び乗り、7時半頃からずっと病院の駐車場で受付の開始を待ちました。
一番乗りで受付をして、診ていただいたのですが、特に大きな問題は無さそうとのこと。でも、「力丸が家の中でウンチをするということは、かなり異常なことなので」ということをお話して、レントゲン検査をすることになりました。
そして結果は、片方の肺にほんの少しの影があって、肺炎かもしれないということに。
実は、力丸は、常に舌が力なくダランと外に垂れていて、その1年ほど前から、水を飲む時間が異常に長くかかっている割に量が減っておらず、舌が上手く使えていないのではないかと疑って、かかりつけの病院でも、試しに行ってみた他の病院でも相談をしてみたのですが、原因がわからずにいました。
なので、もしかすると誤嚥による肺炎なのではないかと、診断を受けて直ぐに思ったので、先生にそのことをお話しました。
一度そうなってしまうと、口からの飲食が非常に危険になるのでということで、その時に、胃瘻を作ることについてのお話がありました。
胃瘻を作る手術そのものは然程難しくなく、短時間でできるのですが、問題は、それをする為に、全身麻酔が必要だということです。
ご存知のとおり、力丸はフレンチブルドッグで短頭種。全身麻酔の事故で亡くなるケースも結構あるようなので、直ぐにお願いすることはできませんでした。
先生は、「もしも不安が残るようなら、麻酔のモニターの設備がしっかりと整っている、大学病院をご紹介します。」とまで仰って下さったのですが、決断できませんでした。
嚥下困難の原因を調べている間も、栄養は取らなければならないため、ドッグフードを柔らかくして食べさせたり、手作りフードに変えたりと、思いつく限りのことを試みました。
同時に、インターネットで、同じような症状のワンちゃんがいないかと、海外のサイトも含め必死に調べてみたのですが、当時、病気としての説明のようなものはあっても、実際に治療を受けている、または受けていたという、飼い主さんのサイトは見つからず、とにかく、重症筋無力症だとすると、その検査が国内ではできないということだけはわかりました。
手元に残っている力丸の血液検査の結果では、心筋、骨格筋の壊死を表すCPKの数値、急性の炎症反応を表すCRP、白血球の数値が異常に多く、特にCPKについては、基準最大値の300を大きく上回り、1418となっています。
で、その二日後に、異常が出ていた箇所だけを再検査したのですが、薬のせいで少し改善はされているものの、やはりCPK、CRPの数値が異常に高いまま。
その約半年前に、他のことで受診した時にも血液検査をしているのですが、その時にも異常な数値は出ていたましたが、自宅から病院まで距離があり、力丸の場合は、常に立ち上がって窓から顔を出して外を楽しんでいたのと、病院に入る前に、排泄をさせる目的で、病院の近所を軽く散歩させたりしていたもので、筋肉を使った後でも数値が上がるということで、その時は様子を見ることに。
もしかすると、この時点でこの病気についての知識があれば、良かったのかもしれませんが、、、。
で、取りあえず、先生の方では、原因となり得るいくつかの病気の中に、その病気も含んでいたようで、まずは、国内で可能な検査からということで、甲状腺の検査から。
でも、これは正常でした。
そこで、血液を採ってアメリカに送るのと同時に、簡易検査で、その病気の可能性の有無を調べ、筋無力症の可能性が高いということになりました。
血液検査の結果が出るまでに、2週間はかかってしまうので、簡易検査の結果を元に、先行して即日、筋無力症の治療を開始しました。
主な治療は、ステロイドの投与になるのですが、筋無力症は、治療が可能な病気であるという説明を受けていたので、迷わずお願いをしました。また、心臓と胃腸の筋肉は、この病気の影響を受けづらいということもお聞きして、少し安心しました。
投薬の量は、血液検査の結果により変わるので、数日に一度の割合で、必要な血液検査をして、薬の量を決めていきます。
ただ、薬は万全でも、薬の臭いが嫌で、一旦飲んだかのように思えた薬も、気がつくと、部屋の隅のほうに吐き出していることがおおく、溶かして注射器で与えようとすると、嫌がって頭を振り続けるのでうまくいかず、、、。
チーズの中に入れて食べさせたり、美味しいものに隠して与えても、食べた振りをして、後で薬だけ吐き出すという技を使ってくるので、不毛な戦いではありましたが、、、(苦笑)
その後の件については、後で書きますが、ご参考までに思ったことを記しておきます。
・全身の皮膚症状が出て、なかなか治らない場合は、自己免疫系の病気の可能性を考慮に入れる
・獣医さんに診療を丸投げせずに、自分でも調べて、必要と思われる検査をしてもらう
(これは、飼い主が納得のいく治療をしていただく為)
・舌がダランと外に出たままになり始めたら、原因を突き止める
・水を飲む時間が長いのに、量が減らないような場合は、きちんと飲めていない可能性がある
・具合が悪そうでないのに疲れやすく、散歩中、頻繁に休みたがるようになったら、筋無力症の可能性を疑う
・後天性の重症筋無力症は、7歳頃に発症する場合が多い(力丸も7歳の時に診断されました)
・検査結果は、血液をアメリカまで送るため最低でも2週間はかかるが、国内で簡易検査ができる。
・治療の開始が早ければ治癒の可能性もあり、また治癒ができなくても、進行を遅らせることが可能
・この病気の場合は運動をさせることで筋力が落ちてしまうので、散歩を短くする等無理をさせない
・食餌が困難な場合は、胃瘻をつくることも視野に入れる(治療に必要な体力を維持するためにも)
・胃瘻は、ボタン式よりもチューブ式の方が、パイプが太くて注入しやすい
・できるだけ高度医療に対応している病院を選ぶ
(力丸の場合、生まれてからずっとお世話になっていた病院が、高度医療のできる病院で幸いでした)
・細かく説明してくれる獣医を選ぶ
(力丸の場合、最初に診ていただいた先生よりも、次に診ていただいた先生の方が、細かく、わかりやすく説明をして下さったのと、研究熱心だったので、その先生に主治医になって頂きました。血液検査の結果の記録も、毎回戴きました)
・病院内での横の繋がり、情報を共有ができている病院を選ぶ
(力丸の場合、主治医が不在の場合でも、きちんと申し送りがされていて、もう一人の先生がよく理解された上で診て下さったのと、看護師さんも優秀だったので安心して治療が受けられました)
・検査も含め、各治療にかかる費用について、事前に遠慮なく聞けて、相談ができる病院を選ぶ
・治療方針を細かくきちんと説明してくれて、飼い主の意見も聞いてくれる獣医を選ぶ
・動物医療保険はとても有難い
・治療に必要な費用を得るために仕事に就いてしまうと、一緒に居られる時間が減ってしまうので、日ごろから治療費として蓄えておく(飼い主としての責任と、自分が後悔しないために)
・獣医さんよりも飼い主の方が、日ごろの様子を細かく見ているので、いつもと何処がどのように違うのかという点や不安な点を、落ち着いてきちんと説明する
等々、色々とありますが、また思い出したら書き加えていきたいと思います。
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